「ネイティブの発音を身につけたい」と思ったときに考えてみてほしいこと

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Q. 英会話スクールに通いたいと思っています。ネイティブの発音を身につけたいので、外国人講師がいるところがよいかと思ったのですが、近所の英会話スクールにはオーストラリア人の講師しかいないそうです。「オーストラリア人は訛りがあるのでよくない」とよく聞くため、迷っています。どうすればいいでしょうか?

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A. オーストラリア人も立派な英語を話します。迷わず習うべきです。あなたの言う「ネイティブの発音」とは何なのか、よく考えてみましょう

■「ネイティブ」の定義は実は曖昧

オーストラリア人でないのなら、何人の講師なら良いのでしょうか。日本国内ではアメリカ英語の発音が「良い、カッコイイ」とされている傾向があります。その次に良いとされているのはイギリス英語でしょう。英語を話せない人の中では、これらが訛りのないキレイな発音だとされていて、「ネイティブ」の発音を学びたい人が習いたがる英会話講師の出身国もこの2つです。オーストラリア英語はご質問のような噂があるのは事実で、人気の点では若干劣ります。

実際のところは、英語が話されている国は世界中にあります。オーストラリア以外にも、日本人の留学先としても人気の高いニュージーランドとカナダがあります。第二言語としてかなりの割合の人が英語を話せる国まで範囲を広げてみると、アジアだけでもインド、パキスタンスリランカシンガポール、フィリピン、マレーシアなどが挙げられます。これらの国で英語を完璧に操れる人たちは「アメリカやイギリスの発音」にこだわってはいません。

さらに、同じ国の中でも地方が違えば、発音は異なります。日本語だって、標準語で話しているつもりでも、東日本の人と西日本の人ではイントネーションが異なります。方言は通じないことがあります。どれが「正しい日本語の発音」かは言えません。こう考えると、「ネイティブ」や「ネイティブの発音」の定義自体が曖昧であることがわかるでしょう。

■発音の違い(訛り)が聞き取れるのは相当なレベル

あなたがもし、既に国別地方別の英語の発音のわずかな差である「訛り」を聞き分けることができて、「自分の発音は訛っているから直したい」と思うのなら、発音矯正を(したければ)やってみてもよいかもしれません。でもそこまで上達しているなら、それ以上英会話スクールで勉強する必要はないでしょう。そうでないなら、聞き取って話せるようになることの方が先です。

それから、あなたが考える「ネイティブの発音」というのは、本当に正しいのでしょうか?例えばニューヨークで完璧に発音をマスターしてきたあとに、たまたま仕事で赴任することになった先がシドニーだったとしましょう。開口一番、オーストラリア人に「あなたの英語はニューヨーク訛りだね」と言われてしまうことになりかねません。ネイティブ発音だと思い込んで一生懸命に身につけたのに、場所が変われば単なる「訛りのある発音」でしかないのです。

アメリカやイギリスといった特定の国に限定した「ネイティブ発音」ができることの重要性は、低いことがお分かりいただけたでしょうか。多少訛りがあったとしても、「正確で美しい英語」を話せることのほうがはるかに重要です。このことを念頭において、勉強を始めてください。